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安全衛生責任者の役割と求められる資格

2023年08月23日

労働者の安全と健康を守るために選任される安全衛生責任者をご存じでしょうか?

企業や事業者は、多くの作業者が働く現場において安全衛生管理に取り組む必要があります。そのため責任者を設けますが、働く作業者側の代表として、安全衛生管理に取り組むのが安全衛生責任者です。

安全衛生責任者は、労働衛生安全法によって、一定規模以上の現場で選任が必要とされています。

それでは安全衛生責任者には、どのような役割があり、どのような権限があるのか、だれがその位置につくのか、選任されるためにはどんな知識が必要とされるのでしょうか。

安全衛生責任者の役割と求められる資格

安全衛生責任者とは

安全衛生責任者は、建設業などの現場において、複数の関係請負人(下請け会社、協力会社)がある場合に、関係請負人の代表として選任され、元請け側の責任者である統括安全衛生責任者と共に現場の労働災害防止と衛生や安全の責任を負います。

実務として安全衛生管理の計画を立て、事故や災害を予防する対策を実施し、作業が行われている間も、危険な個所や行為が見つかれば、改善策を関係者と協議し安全対策を推進すると共に作業員への教育も担います。

作業効率や安全性を向上させる提案があれば、作業者の代表として事業者や統括安全責任者との連絡および調整を行います。

また統括安全衛生管理者からの通達を、現場の作業員などの関係者に伝える役目を担います。

安全衛生責任者の選任は労働安全衛生法で定められ、鉄骨、もしくは鉄骨鉄筋コンクリート造りや木造建築、造船などの作業者が50人以上の現場、または圧気工法を使う業務や、隧道や橋梁の建築現場で作業者が30人以上の現場で安全衛生責任者が必要で、作業が行われる時には元請け側の事業者に選任した責任者を届出る義務があります。

どんな現場に安全衛生責任者が必要とされるか

建設業もしくは造船業の現場では、労働災害を防止するため元請けとなる事業者が「統括安全衛生責任者」を選任し、現場の環境、安全、衛生に関する責任を担います。

また、作業現場において複数の関係請負人(下請けや協力会社)が混在して作業を行う場合には関係請負人の中から「安全衛生責任者」を選任し請負い事業者の代表となり、安全、衛生の責任を負います。

【h2】統括安全衛生責任者と安全衛生責任者は違う?

安全衛生責任者は業務を請け負う業者の中から選任される職種で、統括安全衛生責任者は、元請けとなる事業者(請負業者に発注する側)で選任されます。

立場は違いますが、お互いで連絡や調整を行い、作業現場の安全対策や環境の保全もしくは改善など、作業環境の整備に責任を負います。

安全衛生責任者に必要な資格は有るの?

安全衛生責任者になるには、特別な資格は不要ですが、「職長・安全衛生責任者教育カリキュラム」の受講が求められます。

前回の受講から一定期間経過した人(おおむね5年経過)や、現場で使用される機械設備などに大幅な変更があった現場で従事するには「職長・安全衛生責任者能力向上教育カリキュラム」の受講が求められます。

職長・安全衛生責任者教育の内容

職長・安全衛生責任者教育の講習は一般財団法人中小建設業特別教育協会などいくつかの法人で開催されており、それぞれ都道府県ごとに年に数回予定され、オンラインでの受講もできます。

受講のために必要となる職歴や資格は不要で、年齢の制限はありません。

講習は以下7つのカリキュラムがあり、合計14時間の講義を2日間にわたり受講します。

・作業方法の決定及び労働者の配置 2時間
・労働者に対する指導又は監督の方法  2.5時間
・危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置 4時間
・異常時等における措置 1.5時間
・その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関すること 2時間
・安全衛生責任者の職務等 1時間
・統括安全衛生管理の進め方 1時間

講習は学科のみとなり実技の講習は有りません。

これらのカリキュラムをすべて受講すると修了証が発行されます。

まとめ

請負作業者が多い現場では、安全衛生や環境に対する責任が薄くなりがちです。

作業者たちへの安全衛生への意識を啓発するとともに、作業環境の改善を元請けの責任者に請負作業者から提案された意見を上申するのも安全衛生責任者の役目です。

同じ現場で働く作業者たちの安全衛生と事故防止の意識向上と、作業環境効率の改善を推進する安全衛生責任者になりませんか。

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