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クレーンが使われるときに聞く玉掛けとは?

2023年08月30日

クレーンを使って荷物を吊り上げる作業を行う工事現場や工場では、「玉掛け」という言葉をよく聞きます。

吊り荷に関する言葉だということはなんとなくわかりますが、具体的にはどのようなことを指す言葉なのかご存じでしょうか。

クレーンが使われるときに聞く玉掛けとは?

玉掛けって何?

「玉掛け」とは荷物を吊り上げるときに、クレーンのフックに荷物を掛けたり外したりする作業の事です。

荷物を吊り下げる作業を何故「玉掛け」と呼ぶのかについては、語源がはっきりしておらず、いくつか伝わっている説では、大事なものを「玉」と呼んだことが語源とした、ロープの端が輪になっているのを「玉」と呼んだ、吊り荷が落下するなど危険を伴う作業なので「命」(俗称でタマと呼ばれることがある)を掛ける作業だから、など複数あります。

玉掛けの作業は、例えば重い荷物をクレーンで吊り上げるには、ワイヤーロープやベルトスリングなどの吊るための道具を使いますが、ワイヤーロープやベルトスリングの強度と長さが適切であること、吊り具の長さや吊り上げた時の角度が適切であること、など安全を考えて正しく吊らなければなりません。

玉掛け作業が行われている現場

玉掛けは、クレーンで部材を吊り上げる作業が行われる現場で、必要となる技術です。

例を挙げると、建築の構造材を吊り上げる建設工事現場、重量のある部品を移動させる工場や造船所、船やトラックに荷物を積み込む荷役現場など、で見られます。

玉掛にはどんな作業があるの?

荷物を吊り上げるには、吊り荷の重量に充分耐えられるワイヤーロープ、ベルトスリングを用意します。ロープ類の長さが短くては当然吊ることはできないですが、クレーンを最も高い位置まで上げなくても充分に移動ができる適切な長さのワイヤーを用意します。

吊り上げた時にワイヤーは斜めに惹かれますがその角度に規定があり、ワイヤー全体の長さはそれも考慮して決めます。

クレーンのフックにワイヤーロープやベルトスリングの端に設けられた輪を掛けます。

この時吊り荷が安定して吊り上げられるように、全体のバランスを考えて吊り具を掛ける位置を決め、吊り上げた時に吊り具が荷物からはずれない位置を考慮します。

また、吊り具から荷物を安全に外すことも大切な技能です。

これらのことを考慮して、適切な吊り具で荷物を保持してクレーンオペレータにクレーン動作の指示を出すのが「玉掛け」作業者の仕事です。

玉掛けに資格は必要でしょうか

吊り荷をするための玉掛け作業には、安全に玉掛けをする知識が要るのはご理解頂けるでしょう、果たして資格が必要なのでしょうか?

玉掛けを行う作業者には「玉掛け技能講習」を受講し修了証を得ることが求められます。

講習には「玉掛け技能講習」と「玉掛け特別教育」の二種類があり、使用するクレーンの「最大つりあげ荷重」が1トンを超える場合には「玉掛け技能講習」の修了証が必要となり、1トン未満のクレーンでは「玉掛け特別講習」の受講が必要です。

これは吊り上げる荷物の重量ではなく、玉掛けを行うクレーンの最大つり上げ荷重によって求められる修了証が変わりますが、上位である「玉掛け技能講習」の修了者であれば、1トン未満のクレーンでも「玉掛け」の資格を有しています。

それぞれの講習は講習時間、講習内容が異なります。

玉掛け特別教育

1トン未満のクレーンでの玉掛け作業を行う資格で、学科5時間、実技4時間の講習があり、修了時に試験は無く、受講の証明によって資格が得られます。

クレーンオペレータの講習を行う教習所などで受講できて、講習にかかる費用は1万5000円程度からとなります。

玉掛け技能講習

1トン以上のクレーンで玉掛け作業を行う資格で、学科12時間、実技7時間の講習があり、こちらも修了時の試験は無く、受講の証明により修了証が発行されます。

クレーンオペレータの資格所有者や、玉掛け特別教育の修了者は一部の実技が免除されます。

費用は2万円程度からとなります。

クレーンの資格と玉掛け

クレーンの操作には、操作するクレーンに応じたクレーン運転士の資格や技能講習の受講が必要となります。

大きく分けて、5トン以上の吊り上げ荷重を持つクレーンの操作には、クレーン運転士の資格が必要となり、5トン未満のクレーン操作には、技能講習の受講にて修了証を取得します。

これらの資格を持っているだけでは玉掛け作業は許可されないため、合わせて「玉掛け技能講習」「玉掛け特別教育」を受講が必要です。

また、「玉掛け技能講習」「玉掛け特別教育」の修了者であっても、クレーンを操作することはできません。

まとめ

「玉掛け」には講習の受講が必要なことはご理解いただけたと思います。

これらの修了証は、一度受講すれば生涯有効で、クレーンで吊り荷をする現場で必ず求められる資格です。

クレーンを使う工事現場や、クレーンのある工場に就職するのにとても有利な資格でもあるので、あなたもぜひ受講してみませんか?

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