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フルハーネス墜落制止器具の資格について

2023年03月04日

以前は安全帯と呼ばれていた、高所作業時に装着する墜落制止のための器具があります。
安全帯は2019年に改正された政令により墜落制止器具という名称に変わり、正しく装着するための講習の受講が必須となりました。

ここではフルハーネス型墜落制止器具とその講習について説明します。

フルハーネス墜落制止器具の資格について

フルハーネスとは

建設現場や橋梁、鉄塔など高所で作業を行う作業者は、落下を防止する墜落制止用器具を装着しなければなりません。
墜落静止用器具とは、かつて安全帯と呼ばれた器具で、胴回りに装着するベルト状の胴ベルト型と、全身をカバーするように装着するフルハーネス型があります。

2019年1月に政令が改正されたことにより、墜落制止用器具はフルハーネス型を用いることが原則となりました。
同時にそれまで呼ばれていた安全帯という名称がフルハーネス型墜落制止器具となり、その規格も新しくなりました。

2022年1月からは新しい規格である「墜落制止用器具」という文言が付いていない器具は使用できなくなりました。

一般的な建設現場で高さが2メートル以上の場所で作業するときには作業床を設けることが原則で、その作業床の端や開口部には手すりや覆いを設けて落下を防止する処置をしますが、その安全を補助するためにフルハーネス型墜落制止用器具を使います。

また電信柱などに登る柱上作業でも2メートルを越える高さで作業する場合にもフルハーネスが必要となります。

参照:安全帯が墜落静止用器具に変わります/厚生労働省

フルハーネスどうやって使う?

フルハーネス型墜落静止用器具は、複数のベルトで構成されていて、落下時に器具から身体が抜け出たり腹部や胸部をベルトにより圧迫される危険を軽減する構造です。

複数のベルトは、肩、胸、胴、腿などの部位に分かれており、一般的に背中にあたる部分にランヤードと呼ばれる命綱を装着し、宙づりになった時でも重心が高い位置に維持されて、着用者の頭部が下になった状態になることを防ぎます。

そしてランバートには伸縮して衝撃を吸収するショックアブソーバと、安全を確保する場所に掛けるフックが併用されます。
装着は、各ベルトの緩みやねじれが無く、バックルが確実に連結されていて、落下した衝撃によって過大な負荷が身体に及ばないかどうか確認します。

ランヤードは背中のやや高い位置に取り付けられるため、ランヤードの長さを考慮し、着用者の作業を妨げることや、ランヤードが伸び切る前に接地することが無いように、フックを掛ける位置を確保します。

参照:正しく使おうフルハーネス/厚生労働省

資格は必要なの?

フルハーネス型墜落制止用器具を身に着けて作業をする人は、労働安全衛生規則に規定されている講習を受ける必要があります。
講習は特別教育と呼ばれ学科4.5時間と実技1.5時間のカリキュラムで構成され、講習を修了したことが認められると修了証が渡されます。

この修了証に有効期限は有りません。
一度取得すれば修了証をなくさない限り生涯有効になります。

この講習の対象となる高所作業には、建築鉄骨の組み立て、木造家屋の母屋、屋根、梁、垂木上での作業、足場を組み立てる、足場を撤去する、電柱や通信柱に登って柱上作業を行う、送電線に架線する作業、など墜落の危険性を含む多岐にわたる作業で、安全教育の徹底が必須となる現場です。

高所作業を行うには、事前に講習を受けて修了証を取得するのはもちろん、常に正しくフルハーネス型墜落制止器具を装着することと、安全に関する知識と技能が必要となります。
また、求められたら現場監督など作業の管理者に修了証を呈示してください。

フルハーネス講習を受けよう

フルハーネス型墜落制止器具特別教育は、建築関連の安全教育や研修を行っている社団法人、財団法人、民間企業などが定期的に有償の講習会を開催しており、そこでの講習会のカリキュラムは以下の内容により行われます。

学科(講習時間2時間30分)

・作業に関係する知識:作業に使われる設備の種類と構造、および取り扱い方法と点検、整備の方法
・墜落制止用器具に関する知識:墜落制止用器具とランヤードの種類及び構造、装着方法、点検整備の方法
・労働災害防止に関する知識:墜落による労働災害、落下物による危険を防止する措置、感電防止、保護帽の仕様と保守、事故発生時にとる措置、その他の災害の防止
・関係法令:労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令
実技(講習時間90分)
・墜落制止用器具の使用方法:フルハーネス装着、ランヤード装着、労働災害防止の措置、墜落制止器具の点検と整備
など

既に持っている安全関連の資格や実務経験により、一部の講習が免除される場合があります。
コロナ禍以降WEB上で行われるオンライン講座形式も選択できるようになり、一部の機関では外国人労働者向けに外国語で行う講習会が設けられています。

また、受講者が複数いる場合には任意の場所で出張講習も可能です。
主催者により講習の条件、講習日程、費用などに違いがありますので、受講前に各講習の主催者に問い合わせてください。

参考:一般財団法人 中小建設業特別教育協会

フルハーネス講習で安全の知識を深めよう

高所作業にはフルハーネス型墜落制止器具の装着が必要なことを述べてきましたが、装着だけでは事故を防止することはできません。

特別教育の講習を受講し、墜落制止器具の選定からフルハーネス墜落制止器具の装着の仕方、ランヤードとの接続などを正しくしるとともに、安全の確保や墜落の危険性、事故発生時の知識など安全に関する知識を深めることが重要です。

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