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油圧ユニットとは?仕組みと選び方を油圧の基礎知識と共に解説

2022年12月12日

「油圧ユニットって何?」
「油圧ユニットを選ばなければいけないけれどどうやって選べばいいの?」
「ネットで調べても専門用語ばかりでよくわからない!」

と油圧や油圧ユニットについて詳しくない方はお困りになるケースが多いでしょう。

本記事では、油圧の基礎知識と油圧ユニットの仕組みについて解説します。
初心者の方がお読みになってもわかるように、やさしい言葉を使ってわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

油圧ユニットとは?仕組みと選び方を油圧の基礎知識と共に解説

油圧ユニットとは?

油圧ユニットとは、油圧を利用するために必要な「油タンク」「モーター」「ポンプ」がセットになった機械です。

油圧ユニットの特徴は以下の通りです。

● 油圧の力を利用するために必要な圧のかかった油を供給する機械
● 油圧を利用するのに必要なものがセットになっている「基礎ユニット」である
● 油圧を利用したい場合には必要不可欠な機械
● 装備されたポンプやアクチュエータなどの種類により得られる力の大きさが異なる

このように、油圧ユニットは油圧を利用するためにとても重要な役割を果たす機械となります。

そもそも油圧とは?

それでは、油圧ユニットで利用する「油圧」について説明します。
油圧とは、パスカルの原理を利用して作られた「油圧装置」を使って、小さい力で大きな力を生み出すものです。

油圧装置を使うと、エンジンやモーターなどから発生する動力(実際にものを動かすような運動エネルギー)を流体のエネルギー(油などの液体に圧力をかけて発生するエネルギー)に変換します。

油圧装置は「密閉された容器の中で静止した流体の一部に圧力を加えると、その圧力は流体のすべての部分に等しく伝わる」といったパスカルの原理を用いており、「力=受圧面積×圧力」の計算式で表現されます。

油にかかった圧力である流体エネルギーが解放され、運動エネルギーに変換される場所の面積が広いとその力は増幅され、実際にかけた力よりも大きな力を生み出すのが可能なのです。

クレーンやショベルカーなどの重機に使われています。

油圧ユニットの仕組み・構成する要素について解説

それでは、油圧ユニットの仕組みを説明していきます。
油圧ユニットは、以下の5つで構成されています。

1. 動力(エンジン・モーターなど)
2. 油圧ポンプ|ピストンポンプ・ベーンポンプ・スクリューポンプなど
3. 油圧制御弁|圧力制御弁・流量制御弁・方向制御弁など
4. 油タンク
5. 油圧アクチュエータ|油圧シリンダー・油圧モーターなど

1~5の順番でエネルギーが移動していく仕組みです。
エンジンやモーターなどで発生させた動力(運動エネルギー)は以下の順番で変換されていきます。

動力(エンジン・モーターなど)を発生させる
→油圧ポンプ→油圧制御弁→油タンク
→油圧ポンプ→油圧制御弁→油タンク
(繰り返し)
→油圧ポンプ→油圧制御弁
→油圧アクチュエータ
→動力に変換される(機械を動かすなどに使われる)

それでは、油圧ユニットの構成要素について解説します。

1.動力|エンジン・モーターなど

まず、エンジンやモーターなどを用いて動力、ものを動かすような運動エネルギーを発生させます。
エンジンやモーターで発生するエネルギーだけでは重機で重いものを持ち上げるのは不可能です。

この運動エネルギーで油に圧をかけて、大きなエネルギーに変換していきます。

2.油圧ポンプ|ピストンポンプ・ベーンポンプ・スクリューポンプなど

エンジンやモーターなどで発生した動力(運動エネルギー)は、油圧ポンプに伝わります。
油圧ポンプで油に圧をかけ、動力(運動エネルギー)を流体エネルギーに変換していくのです。

そして、圧力がかかった状態の油が油圧制御弁に流れていきます。

3.油圧制御弁|圧力制御弁・流量制御弁・方向制御弁など

油圧ポンプで圧をかけられた油が油圧制御弁に流れ込んできます。
油圧制御弁は、「圧力」「流量」「方向」をコントロールする役割を担うものです。
圧力制御弁、流量制御弁、方向制御弁などの種類があります。

それぞれの特徴は以下の通りです。

油圧制御弁の種類 機能・役割 さらに細かい分類
圧力制御弁 ポンプから吐き出される油の圧を調整する

高圧になり過ぎている場合は、圧を逃がして機械の損傷を防ぐ

リリーフ弁

減圧弁

シーケンス弁

カウンタバランス弁

アンロード弁

流量制御弁 油の流量を調節する

主に移動式クレーンで用いられている

絞り弁
方向制御弁 油圧が働く方向をコントロールする

移動式クレーンでは管の損傷時にアウトリガ縮小を防止する目的で用いられている

パイロットチェック弁

逆止め弁

方向切替弁

このように、それぞれの役割を担う油圧制御弁により制御された油が油タンクに流れ込みます。

4-1.油圧アクチュエータ|油圧シリンダー・油圧モーターなど

油圧制御弁で圧力などがコントロールされた油が流れ込みます。
油圧アクチュエータは、油圧を動力(運動エネルギー)に変換し、ものを動かすような仕事ができるようにする機械です。

油圧アクチュエータには、種類があります。
主な油圧アクチュエータの特徴を表にまとめました。

油圧アクチュエータの種類 機能・特徴
油圧シリンダー ピストンで直線運動を行う

高出力が可能

高精度の位置決めや速度制御がしやすい

ショベルカーなどの建設機械、旋盤などの工作機械、船舶や航空機などで使われる

油圧モーター モーターで回転運動を行うため回転運動の用途で用いられる

油圧や流量によりトルクや回転速度を制御できる

工場などのプレス機やエレベーター、自動車のブレーキ、ショベルカーやフォークリフトで用いられる

油圧アクチュエータの種類は用途に合ったものを選ぶ必要があるでしょう。

4-2.油タンク

油タンクには「作動油」が溜まっています。
油圧アクチュエータに流れ込まなかった油はこの油タンクに戻ってきて、再び動力を加えられ油圧ポンプに向かう流れを繰り返していく仕組みです。

油圧ユニットの選び方と注意点

油圧ユニットを入手する際には、その用途に合ったものを選びましょう。
前述の油圧アクチュエータの表で紹介した通り、油圧ピストンは直線運動、油圧モーターは回転運動を行うものです。

ご利用になる現場で使う目的に合わせて選択しましょう。
さらに購入する際には以下の点を確認する必要があります。

● 油の吐出量(L/min)
● 最高使用圧力(MPa)

もし、よくわからない場合には業者の方に利用する目的、用途を伝え、適切な油圧ユニットを選んでもらうのもよい方法です。
自分で判断するのに不安がある場合には、専門家に相談しましょう。

まとめ

「油圧ユニットを選ばなければいけないけれどどうやって選べばいいの?」
「ネットで調べても専門用語ばかりでよくわからない!」

と油圧や油圧ユニットについて詳しくない方はお困りの方に向けて、本記事では油圧の基礎知識と油圧ユニットの仕組みについて解説しました。

なるべくやさしい言葉を使って解説しましたので、専門用語がわからなくても油圧ユニットの概要は理解できたのではないでしょうか。
本記事が油圧ユニットについて調べている方のお役に立てば幸いです。

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